幹細胞エクソソームの仕組み
幹細胞の内外には「エクソソーム(exosome)」と呼ばれる微小な小胞があります。エクソソームは1983年に発見され、生命科学の分野で研究が進められてきました。1996年には、エクソソームが他の細胞に物質を輸送する機能を持つことが発見され、さらに2007年には、エクソソームの中に大量の遺伝子複写情報(以下 マイクロRNA)が含まれていることが明らかになりました。このマイクロRNAには重要な情報が含まれており、この情報が幹細胞の効果の鍵であると考えられています。また、エクソソームは細胞間の情報伝達、メッセージツールとして機能しています。
UCサンディエゴ大学の研究では、「幹細胞は脱核しても同様の薬理効果を示す」と報告されており、これは幹細胞の薬理作用の本質がエクソソームなどの細胞外小胞(EV)にあることを示唆しています。さらに、エクソソームは細胞由来の自然なものであり、すでに人体内に多く存在しているため、副作用が少ないとされています。これにより、細胞治療と比較してエクソソームの優位性が認識されつつあります。すでに医療分野では、体液を利用した新しい診断方法に応用されており、今後は再生医療への活用も期待されています。